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【芳麗・女と文化の話】漫画家ひうらさとるが語る〝アラサー干物女子〟の幸せの鍵とは? のメイン画像

今月のゲスト:ひうらさとるさん

女子のみなさん、自分のことを〝干物女〟だと思ったことはありますか?〝干物女〟とは、映画化もされ、大ヒットした漫画『ホタルノヒカリ』の主人公、雨宮蛍のこと。一見、おしゃれで仕事ができる今時のアラサー女子だけど、家に帰れば1人ジャージでゴロゴロする時間が至福。どうにも恋愛には興味が持てない、その姿はまるで干物のよう・・・。『ホタルノヒカリ』には、そんな干物女である蛍が再び恋愛をして、運命のパートナーと結ばれるまでの悲喜こもごもが描かれています。現在は、蛍の結婚と子育てを描いた『ホタルノヒカリBABY』も連載中。本シリーズは、仕事に恋に結婚に・・・と人生の転換期について悩み多きアラサー女子にとっては、普遍的なバイブルとも言える作品です。

人間味にあふれるチャーミングな蛍同様、作者のひうらさん自身も、仕事に恋愛に結婚にと、たくさん迷って考えてきたと言います。

Point! アラサー女子はみんなが 恋愛に興味があるとは限らない

芳麗 『ホタルノヒカリ』は今、読んでもアラサー女子のバイブルですし、主人公の蛍は心強い友人的存在です。私も「干物女って私のこと!」と当時から思っていました(笑)。

ひうら ありがとうございます(笑)。

芳麗 今でこそ、続編「ホタルノヒカリBABY」にて、最愛のブチョーこと高野部長と結婚して子育て中の蛍ですけど、元はアラサーなのに恋愛に興味が持てない〝干物女〟でしたよね。

ひうら 物語が生まれたのは、約15年前。当時は今みたいにネットとか本音をぶっちゃけられる場所もなくて。働く女性たちたちも会社ではではキレイに取り繕って仕事しつつも、家ではだらけているのを見せない時代でした。それからね、当時のアラサー女子に取材したら「恋愛はめんどくさい」という子が多かったんです。若い女子はみんな恋愛が好きなものだと思い込んでいたけど、メディアがそう煽っていただけ。本当は疲れているのかもしれないなと。

芳麗 わかります。私もそうでしたし、長年、この世代を取材していて思いますけど、実は時代を問わず、「アラサー世代は恋愛に疲れている」。恋も仕事も一周して、一息つきたい時期だけど、そろそろ結婚とか出産も考えなきゃと思うから苦しくて。

ひうら 30代は悩ましいですよね。

Point!一方的に守ってもらうだけの結婚が 幸せなものになるとは思えない

芳麗 蛍の場合、1度はブチョーと結ばれたのに、すぐにハッピーエンドにはなりませんでした。29歳という焦りがちな時期に1度は別れ。5年後の34歳でブチョーと復縁して結婚するわけですけど。あのとき、蛍が1度は別れを選んだのはなぜですか?

ひうら 2人には年齢差もあるけど、人生の経験値や成熟度にも圧倒的な差がありましたよね。だから、恋人ならともかく、人生のパートナーになり得るには、そこの差を埋めてからじゃないと難しいだろうと思ったんです。

芳麗
  それは作者として俯瞰で見て?

ひうら はい。もともと上司と部下だったし、2人の性格もあって。あのまま結婚したら、蛍が一方的に守って養ってもらうみたいな関係性になりかねない。それって、少し前までの恋愛のステレオタイプであり、いわゆる〝女の幸せ〟みたいにも思われていましたけど・・・果たしてそうなのかなと。

芳麗 上下関係を伴う夫婦関係が、必ずしも幸せとは言えないですよね。

ひうら ええ。やっぱり蛍は「家ではダラダラ」も含めて、素の自分をキープしつつも精神が成熟してからブチョーと結ばれるのが良いと思ったんです。自らアプローチしてね。

芳麗 なるほど。自力で幸せになろうとするというのがポイントですよね。だから、蛍もまずは仕事に邁進した。

ひうら 「全然恋愛できなかった女子が、棚からぼた餅だけで幸せになりました!」では、読者もリアルな希望は持てないですよね。

芳麗 シンデレラストーリーですもんね。

Point!どうせモテないという思い込みは 男性を個々に観察していないから

芳麗 どうすれば、現実的なベストパートナーの人に出会えるのでしょう?

ひうら うーん。誰と出会うかより、自分がどう生きていきたいのかを先に決めると、それに必要な人と出会うんじゃないかな。これは私だけじゃなくて、いろんな人のパターンを見ても思います。

芳麗 ああ、そうかも。

ひうら つい最近まで婚活していた友人もそう。婚活アプリとかのツールを使っていたんです。ちなみに彼女は東大卒で持ち家もあってフェミニストでオタクで・・・とスゴい子なんですけど。婚活には不利な条件だからと、最初はその辺は隠して。手当たり次第、相手を求めていたときは上手くいかなくて疲弊していたんです。

芳麗 キャリア女子の婚活あるあるですよね。

ひうら だけどあるとき、自分を隠すのを止めて、プロフィール欄に長々と真実を書いたんです(笑)。すると、申込者は減ったものの、それでも来てくれたツワモノ5人とデートして。その中の1人と無事にカップルになりました。

芳麗 良い話!自分が確立していたら、ペアーズだってタップルだって良い出会いを見つけられる可能性が高い。ただ、何となく結婚願望や焦燥感は強いけど、そもそも自分がどうしたいか本心がわかってない人も多いと思いますね。そもそも、どんな人が好きなのか、何が欲しいのか・・・。

ひうら そうですよね。でも、自分の生き方や本心を知るといっても、そんなに大げさなことをしなくていい。「ランチは何を食べたい」とか、「この画面の色が好き」みたいな日常の些細なことから、好き嫌いや快・不快をはっきりさせてみるといいと思います。感覚って大事ですから。

芳麗 なるほど。一緒にいてしっくりくる人っていうのも、結局、感覚ですもんね。それから、自分の素を他者に見せることに慣れていない人もいますよね。フェミニストやオタクである自分は、他者に、特に男性には見せちゃいけないと思っちゃう。

ひうら でもそれって、女性側も男性をステレオタイプに見過ぎているのかも。「こういう女性が好きでしょ」とひと括りに見ている。それは男性を舐めているとも言えますよね。

芳麗 あ、なるほど。

ひうら 私も20代の頃はありましたよ。後々、男友達に聞いたら、当時の私は、男性をステレオタイプに見ていたと(笑)。そういう女性を男性は信頼できないし、彼女にしないですよね。

芳麗 ああ、私もかつては「男性なんてどうせモテ服が好きなんでしょ」とか思っていました。自分を卑下していたつもりが、実は男性を見下してもいたという。

ひうら ありますよね。

芳麗 多くの人が、異性を別の生き物として考え過ぎているというか。男性だから、女性だからと区切りすぎているところはあるのかも。年々思いますが、結婚って男女として惹かれ合うより、人間同士としてどれだけ認め合えるかだと思うから。

ひうら そうなんですよね。

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