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【芳麗・女と文化の話】人気クリエイター・kemioが語る、今を楽しく生き抜く術 のメイン画像

今月のゲスト:kemioさん

この世は戦場、人生はミュージカル。 踊りたいように踊ってこ!

メディアも年齢も性別も職業も。あらゆる垣根を軽やかに飛び越えて、自由に自分を表現して、今、最も輝いている人――。クリエイターであり、インフルエンサーのkemioは、YouTubeの登録者数は100万人を突破、インスタグラムのフォロワーももうすぐ100万人を超える勢いだ。
芳麗 めっちゃ観てます。kemioさんのYouTube(笑)。

kemio
ありがとうございます!

芳麗 言葉も動きも含めて、カオスだけど魅力的な世界観があって、まるでコンサートか舞台を見ているみたいに引き込まれます。

kemio  わ、嬉しいです。子どもの頃からミュージカルが大好きなんですよ。「オズの魔法使い」とかファンタジックなのが特に!だから、自然とミュージカルみたいに振る舞っちゃうのかなって。動画を撮るときだけでなく、普段の生活の時もそんなイメージで生きています(笑)。

Check!アメリカで1人になった自分ついて考えぬいて強くなれた

彼がSNSやYouTube上で繰り広げている日常は、まさにミュージカルのごとし。主演のkemioをはじめ、ユニークで魅力的な友人たちも登場して様々な冒険に出かける。スペシャルな体験はもちろん、ありふれた毎日も歌い踊るように表現してキラキラした1コマにする。時には悲しいことや苦しいことも正直に吐露して、観るものの胸をわしづかみにする。同世代にとっては憧れであると同時に、友達よりも身近で愛すべき存在なのだ。

その人気を幅広い世代にまで広げたのが、人生と哲学を綴った書籍「ウチら棺桶まで永遠のランウェイ」。なかなかハードモードだった人生を、突き抜けて明るいノリと思慮深さを持って語り、あらゆる世代の共感と賞賛を得た。
kemio  これまでの人生ついて書こうと思ったのは、単純に読者の方々に楽しんで欲しかったからです。ファッションとか生活とか、いつも無料でプライベートを切り売りしているので(笑)。スタイルブックとか出しても読む人にはお得感がないかなと。

芳麗 自己表現というより、サービス精神ゆえの自伝だったんですね。

kemio  あ、完全にそうです。

芳麗 読んで、より引き込まれました。コンプレックスや孤独と深く向き合ってきた人だなと。だから、明るさも強さも切なさも含めて個性が突き抜けている。

kemio  全然全然!先輩、褒めすぎ〜(笑)。でも、いっぱい悩んだのはたしかです。子どもの頃は友達が作れなくていじめられていた時期もあったし、やりたいことがやれなくて葛藤したことも多々あったし・・・。

芳麗 どうして強くなれたの?

kemio  うーん。今も弱いし、悩みは尽きないけど、地球レベルで考えたら鼻くそみたいなもんだと気づいたから。高校時代はもっとウジウジする性格だったけど、あるとき、それをノートに全部書き出すことにして。数ヶ月後、読み返してみたらどうでもよくなってたんですよ(笑)。どんなに重い悩みや苦しみもチリみたいに消えていくんだなと。

芳麗 真理だ。

kemio  3年前にアメリカに移住して1人になったのも大きかったと思います。日本では仕事も忙しくて遊ぶ友達もたくさんいたけど、アメリカには何もなくて1人で考える時間がすごく増えた。考えて考えたからこそ、自分について発見できたことも多かったんです。

芳麗 そもそも、どうしてアメリカに行こうと?

kemio  自分の頭が空っぽだなと思ったから(笑)。Vineで注目されて、18歳くらいからテレビに呼ばれたりしたけど。プロに囲まれてみたら、自分のリアクションとかコメントって何て薄いんだろうと。中身がないから当然ですけど。もっと人とは違う経験を積んで、自分の言葉でそれを発信できる人になりたいなと思って。

芳麗 空っぽな自分に気付けたのも、実際に動けたのもすごい。

kemio  勇気は必要だけど、何事も悩むより動いちゃえば、どうにかなるんですよね。アメリカに行ってすごく良かったです。行動しないまま24歳になっていたら、どんな生き方していたかな? もはや、全然想像できなくて、時々、セルフなぞなぞしちゃう。

芳麗 自問自答しちゃうんだ(笑)。

Check!色眼鏡で見てしまうのは LGBTQを知らないから

現在もアメリカに暮らし、日々の生活や世界を飛び回る様子をYouTubeで配信するなど、日々、自分を表現するKemioに対して、多くのファンや視聴者がまるで友達のように話しかけ、人間関係から進路まで悩み相談する。

一方、メディアでは、政治や社会問題についても意見を求められるなど、今や、若い世代のオピニオンリーダー的存在にもなっている。
kemio  よく言われますけど、オピニオンリーダーなんてつもりは全然なくて。いち消費者として生きていると感じる違和感ってありますよね?それをカフェで一緒に茶してる相手に語っているくらいの感覚です。

芳麗  友達感覚。

kemio  そう。だから、時々、SNS でも話しすぎちゃうし、ファンって言葉もかゆいんですよ。どっちが上とか下とかないし、一直線上にいるイメージ・・・。交わらないけど、よかったら並走しようねっていう。「ウチら」って言葉をよく使うのも、そういう気分だから。こちらだけが相談に乗っているわけじゃない。「部屋のトイレが壊れた! どうしよう?」って観てる人たちに相談して、助けてもらったりするから(笑)。

芳麗 書籍ではLGBTQについても書かれていましたけど、それも肩の力が抜けている告白だったし、押し付けがましさのない意見だなと。

kemio  LGBTQに関して、自分のことはあえて話す必要がないと思ってたんですよ。アメリカではわざわざ告白なんてしない。普段の生活でも男の子が好きかどうかなんて話題にものぼらず、自然に人間関係が作れるから。でも、僕のもとにくる相談やリプライを読んでいると、日本では環境によって理解が得られず息苦しい思いをしている人がまだまだいることも知って・・・。

芳麗 環境によりますよね。日本でも普通に受け入れられる場もあるし、まだ、色眼鏡で見られてしまう場所もあるし。

kemio  たぶん、色眼鏡かけちゃう人って、正しい知識を知らないからだと思う。マイノリティについて知らないから、怖がったり、過度な好奇心を持ったりするんだろうなと。それなら、僕がLGBTQについて発信することにも意味がある。どこかで苦しんでいる誰かの助けになれるかもしれないと思ったんです。

芳麗 LGBTQに限らず、属性はあるものの、ホントは人それぞれということも知って欲しいなと思います。だって、LもGも男も女も人によって違うじゃないですか。たとえば、フェミニストを自称する女性でも、人により感じ方も考え方も違うから。

kemio  たしかに。だから、知識とか経験って大切だなって、年々、思います。人間も政治も社会も知ること、想像することから始まるんだろうなと。

Check!外の世界は戦場だから自分の家にこもるときも大切

芳麗 お話ししながら、聡明だけど正直な人だなと。ただ、素直に発信していると攻撃してくる人もいるでしょう?

kemio もちろんです。一理ある意見もあるし、ただ叩きたいだけなのかなって人もいるし。

芳麗  傷ついたりしないんですか?

kemio  傷つくこともあるけど、平気です。家の外、一歩出たら攻撃されるものだと思っているから。世の中とか社会って、そういうものですよね。僕に限らず、自分の意見を言えば、「それは違う」とか「ムカつく!」って言う人は必ずいる。皆さんも撃たれません?

芳麗 つまり、この世は戦場だと。

kemio はい。外に休憩場はないですよね。仲間内でお茶する給湯室くらいはあるけど(笑)。だから、心身が疲れたら家から出なくてもいいと思う。自分の中にこもっちゃえばいいんですよ。

芳麗 的確だけど、冷めてる(笑)。

kemio 友達にも言われます(笑)。

芳麗 すでに、人生2、3周はしています? 本誌読者層のアラサーよりも、だいぶ年上な感じがします。

kemio 全然です。年上の方々は年齢を重ねている分だけ、僕にはないいろんな経験もあるわけですから。先輩はもれなく尊敬です。給湯室で出会えたら、お茶入れさせていただきます(笑)。

Check!恋愛はマイペースで良いし 恋よりも欲しいものがある

かつて、いじめられっ子だったkemioも今、ネット上には「ウチら」と親愛を込めて呼ぶたくさんの同志がいる。リアルでもオリジナルな日常を分かち合える、友人たちに囲まれている。
芳麗 今はすごく良い友達に恵まれていますよね。ナディアさんとか、よしあきくんとミチちゃんとか。

kemio 良い友達に出会えたことは、宝くじに当たったくらいラッキーだなと思っています。

芳麗 仲良しの友達の共通点ってあります?

kemio 何だろうなぁ。友達はみんな頑張っていて、存在自体がすごく励みになりますね。個性が強いから集まるとキャラが大渋滞してサーカスみたいになるけど(笑)。思う存分、自分を発揮できる仲間だけど、だからと言って、お互いに踏み込んでほしくない場所には踏み込まない関係というか・・・。

芳麗 各々、マインドが自立しているんでしょうね。自分の絶対領域があるから、他人の領域を侵さないのかな。

kemio それです! だから、久々に会っても関係性が変わらないのかなと思います。

芳麗 恋愛についてはどうですか? 書籍でも動画でも、恋は長らくしていないって話していましたけど。

kemio 全然、全然です〜。

芳麗 今の20代は恋愛に興味がない人が多いって聞くけど、ホント?

kemio 人によると思います。僕の場合、恋愛に対するプライオリティがすごく低い。頭の中にサンタの靴下みたいなものがあって、そこに願いをたくさん入れてるんですけど(笑)、お仕事とか夢とかに関することばかりですから。

芳麗 なるほど。本誌読者のアラサー世代あたりになると、恋愛したいと思う以上に、結婚のためにも恋愛しなきゃって思っちゃう人も多いけど・・・。

kemio えーっ、そうなんですね! 恋愛している人が偉いわけじゃないから、自分のペースで良いと思いますけど。でも、僕も恋愛は別として、いつかパートナーは欲しいですよ。家族にも友達にも話せないようなことを、話せる存在がいたら良いなって・・・。

芳麗 恋よりも愛が欲しい?

kemio  そうなのかな(笑)。でも、ふと、そう思うことがあります。
どこか達観しながらも、人生をもっと楽しもうという貪欲な情熱とセンスは大いに持ち合わせている。戦場のような世の中を、踊るように軽やかに、果敢に面白く生きぬいているから、多くの人を巻き込み、魅了し続ける。そんなkemioが描いている未来予想図とはどのようなものだろう?
芳麗 先ほど、頭の中にサンタの靴下があると話していましたけど、どんな願い事が入っているんですか?

kemio  小さい願いから大きい夢まで、たっくさん入っています(笑)。しかも、色も形もバラバラな感じです。

芳麗 バラバラとは?

kemio 「歌手になって武道館を埋める」みたいな一貫性はなくて。『徹子の部屋』に出たいけど、シャンプーも作りたいし・・・って感じで脈略ないです(笑)。

芳麗 あはははは!いちばん大きいのは?

kemio  城が欲しい!!

芳麗 それは欲しい(笑)。何者かを目指しているわけじゃないんですね。

kemio  全然。だから、夢はたくさんあるけど、自分でもどこに行き着くのかわからなくて楽しみです。

Check!本日の芳麗のおすすめカルチャー

『ウチら棺桶まで永遠のランウェイ』kemio(著)

時代を席巻する人気クリエイター、kemio初の著書は自伝エッセイ。その突き抜けた面白さの一因は、物心がつく前に両親が亡くなったり、学校のクラスでは「変な人」扱いで無視されるなど、数多の苦難やコンプレックスと深く向き合ってきたからこそかも。「人生は環境ではなく、やり方次第」と明るく語る。励まされる1冊。
芳麗(よしれい)
 NHK山形局のキャスターを経て、文筆業に。女性の生き方にまつわるコラムとインタビューを主軸に、本誌のほか、雑誌、WEBなど多くの媒体などで連載・執筆。著作に「3000人にインタビューして気づいた! 相手も、自分も気持ちよく話せる秘訣」(すばる舎)、「LOVEリノベーション」(主婦の友社)など。好きなものは、旅とご飯とカルチャー全般。

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