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業界実話怪談。背筋も凍る、本当にあった怖〜い話【深夜のタクシー編】 のメイン画像

その日私は、仲良しのゆみと久しぶりの女子会で、気が付けば終電を逃していた・・・

なにか夏らしいことをしたくて、会社の同期のゆみをビアガーデンに誘った。アラサーになってお互い仕事に熱中していたから、こんなふうに2人で会うのは久しぶり。結婚のこと、今後の人生について語り合っていたら、自然とお酒が進んだ。結局、2時間制のビアガーデンじゃ飲み足りなくて、路地裏に入ったバーに移動。カウンターに肩を並べると、「うちらも大人になったよねぇ~」なんて言いながらまた話しは盛り上がり、うっかり終電を逃してしまった。

私の方が家遠いから、奥乗るね

深夜1時を過ぎていた。人通りが少なくなった道は、都心なのに薄暗く静まり返っていて、私達はやっとの思いでタクシーをつかまえた。自宅が遠いゆみを先に乗せ、続いて私も席につく。「でさ、さっきの話しだけど…」。ゆみも私もテンションがなかなか冷めない。運転手さんに目的地だけ伝えると、すぐに女子トークは再開した。ゆみはいつも天真爛漫で、仕事もそつなくこなす尊敬できる女性。私は、顔がくしゃっとなる彼女の笑顔が大好きだった。

私の家のそばでタクシーが止まると……なんだろ、視線を感じる

「着きましたよー」。最初の目的地に到着したようで、運転手さんに声をかけられた。それに応えるように私は運転席に会釈すると、ルームミラー越しに、ふと視線を感じた。

ゆみが映ってるだけじゃん! 脅かさないでよ

一瞬ドキッとしたけど、ゆみの顔がルームミラーに反射しているだけだった。相変わらず、笑うと目が細くなって可愛いよなぁ。ホッとしながらゆみの方に目を移し、「じゃ、おつかれ。気を付けて帰ってね!」と言い残して車を下りた。……バタン。タクシーのドアが閉まる音を聞いた瞬間、私は感じてはいけない違和感に襲われた。

え・・・?パッと目が合ったあの顔、ゆみじゃない・・・

なんかおかしい。だって、ゆみは運転席側の後部シートに座っていたから、私の位置からは鏡に映り込まないはず。そういえば、顔がブルーライトみたいに青白く光ってた。うっすら歯を見せて、目は弓のように細くて、どちらかというと〝ニタッ〟とした感じ。ずっと、私と目が合うのを待っていた笑顔。あの人……ゆみじゃない。

ゆみと私の間に、女性が座っていたんだ・・・

急に全身が震えだした。あの残像から逃れたくて、私は部屋に駆け込んだ。あの女性はゆみと私の間に座っていた。今、そのことだけがはっきりわかる。部屋に入って電気をつけると、安心したせいかふにゃふにゃと腰が抜けてしまった。ゆみはまだ乗ってるし、怖がらせちゃいけないから、このことは明日LINEしよう。そう思った時だった。ルームフレグランスもない私の部屋いっぱいに、花の甘い香りが広がった・・・。
文/飯田有希菜

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