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【Hey! Sɑy! JUMP・中島裕翔】「青いけど豊かな人間性を感じる人物」舞台『みんな鳥になって』ロングインタビュー
6月28日から始まる舞台『みんな鳥になって』に主演する中島裕翔さん。舞台に出演するのは久々だそうで、稽古と本番を含めて芝居に集中できる期間が長いのが舞台の面白さと感じているそう。舞台に打ち込む心境や、最近の中島さんがわかる質問に答えてくれました。
舞台『みんな鳥になって』に打ち込む心境や思いをインタビュー
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エイタンはオタク気質。僕にもその素養はあるのでわかります
レバノン出身のワジディ·ムワワドの戯曲『みんな鳥になって』の舞台を踏む中島さん。今作はベルリン出身のユダヤ系青年役。出演が決まったときは、「今の自分にはできないのではないか」と思ったという。
「なぜそう思ったかというと、エイタンという役と僕は全部違う立場にいるから。生まれ育った文化も、普段生きて感じている物事も全部。だから役作りとして彼の背景を構築していくのはすごく時間がかかるんだろうなと思いました。大ざっぱな説明になってしまうけど、この作品には宗教とそれによる和解、愛や家族についてといった、たくさんのテーマが含まれていて、その中にある普遍的なものが描かれていきます。
しかもテーマの中にはセンシティブなものもある。現代社会に通じる問題も描かれているけど、自分が普段ニュースを見ていても、積極的に調べようと思う事柄ではない。そういうところからのスタートだったので、これは大変だぞって最初は思いました」
ニューヨークで遺伝子と統計学を学ぶ青年、セリフの中には難しい言葉がたくさん詰まっている
「エイタンは話していることが難しくて、何を伝えたいのかわかりづらく見える役です。でも脚本を読み解いていくと『これがこうなってこうなるんだ』と複雑に羅列されている言葉は、実は『好きだよ』ということを伝えていたりして。他にも『ありえない』だったり、『偶然』だったり、そういう普通のことを難しい言葉で紡いでいるんです。
他の役は、みんな普段使う言葉の中で自分の気持ちを伝えていくけれど、そういう意味でも僕の役は難しい。なのでエイタンのセリフの中では、どういう意図でその言葉に当てはめているのか、それを自分に理解させて共感する作業が必要なんです。セリフの中に出てくる単語はなじみのない言葉ばかりなので、それをまず調べて、どうしたら彼の言葉に共感できるのか、自分たちの生活において、置き換えられるものはあるのかを探しています。これも勉強です(笑)。
ただわりとエイタンは現代の日本人の宗教観に近いものを持っていると僕は思っています。『僕は遺伝子を勉強して、細胞についても学んでいる。遺伝子に序列はないんだよ。みんな平等なんだ』って、父親に訴えかけたりするから」
難解な言葉が多い上に、ページをまたぐ長いセリフも。覚え方は「小テストを繰り返す」
「ひたすら台本片手に家じゅうウロウロしながら覚えます。台本を見て脳内で繰り返し言う、それの繰り返し。最近調べたんです。どうやったら一番効果的に覚えられるのかって。繰り返して読むのもそうだけど、一番覚えるのは、やったことを脳内で思い返すことなんだって。いわゆる忘却曲線を下げないってことですよね。物忘れするラインを。だから台本に書いてある言葉を反芻して、ちょっと覚えたなと思ったらすぐテストする。自分を試すんです。それが一番よかった。僕にはね」
エイタンはオタクであり、若さもあって、無鉄砲
「エイタンがどんな人物かというと、オタクですよね。冒頭の僕がしゃべるところからオタク感がある(笑)。でもオタク気質なところは自分の中にもあると自負しているんですよ。例えばカメラのことを話しだしたら僕も止まらないし、早口になるし。そういう部分はすごく理解できるし、僕も現実的に物事を考えるタイプでもあるんです。エイタンも『僕は懐疑論者で何ひとつ信じたことがないんだ』ってタイプで。そんな人に魔法みたいな出来事が起きて、しかもそこで全然違う宗教の人と出会ったことによって彼は変わっていくんです。
あとは若さも感じます。無鉄砲だし、『単純だろ。愛の前では何事も無意味なんだ』みたいなことを言うから。僕は今31歳で、もうそんな燃えるような恋に期待もしてないし・・・って、それはそれで夢がないか(笑)。エイタンのそういうところを青いなって、今の僕は思うけど、でもそこに彼の可愛らしさと人間性の豊かさを感じますね」
Information
舞台『みんな鳥になって』
レバノン出身の作家ワジディ・ムワワドの戯曲を現代演劇界をリードする上村聡史が演出。リアルタイムで世界が抱える問題を提示しながら、恋愛、家族愛といった普遍的な人間ドラマが繰り広げられていく。世田谷パブリックシアターの他、兵庫、愛知、岡山、福岡で上演される。
Profile・なかじま ゆうと
1993年8月10日生まれ、東京都出身。2007年11月、Hey! Sɑy! JUMPのメンバーとして、CDデビュー。俳優としても活躍、ドラマ『秘密~THE TOP SECRET』、映画『#マンホール』、『366日』など、話題の作品に次々と出演。
撮影/曽根将樹(PEACE MONKEY) スタイリング/小松嘉章 ヘアメイク/FUJIU JIMI 取材・文/佐久間裕子 ※andGIRL夏号2025年より
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